ヒラズゲンセイは幻の昆虫だけど触ると危険です!

『ヒラズゲンセイ』という名の昆虫をご存知でしょうか?恐らく名前を聞くのも初めてという方の方が大半でしょう。

それもそのはずヒラズゲンセイは『幻の昆虫』とも呼ばれ、高知県などでは『準絶滅危惧種』に指定されています。

『幻の昆虫』と呼ばれるだけあって目撃情報も少なく、その生態も謎に包まれた部分が多いのですが、実はヒラズゲンセイはとても危険な昆虫だったのです。

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目次

『赤いクワガタ』?ヒラズゲンセイ

それでは幻の昆虫・ヒラズゲンスイの生態を見ていきたいと思いますが、まずはその外見から。

ヒラズゲンセイの雄

ヒラズゲンセイ雄2

ヒラズゲンセイの雌

ヒラズゲンセイ雌

出展:http://www.insects.jp/kon-genseihirazu.htm

ヒラズゲンセイは別名『赤いクワガタ』とも呼ばれています。その理由はオスの大きく立派な顎。普段どこでも見られるような昆虫ではないため、初めて見る人にとってはどうしてもクワガタに見えてしまうようです。

確かにそう思えてしまうのもうなずけますね。大きな顎のみならず体や羽の形。

しかしよくよく見てみると、顎の作り(特に付け根の部分)異様に大きな触覚、それに頭の形目の位置、何より『体が赤い』ということに違和感を感じませんか?

本来クワガタが黒っぽい色をしているというのは、外敵から身を守るための保護色です。それがこんなにきれいな赤色をしていれば、目立って仕方がありません

ということでさらに詳しく見ていきたいと思います。

ヒラズゲンセイとは?

ヒラズゲンセイはカブトムシやクワガタと同じ甲虫の仲間ですが、その中でもツチハンミョウ科に属しています。

実はこのハンミョウという昆虫も少しややこしくて、オサムシの仲間ツチハンミョウの仲間に分かれています。写真を見ながら説明すると、

ハンミョウ

ハンミョウ

(オサムシの仲間)

ヒメツチハンミョウ

ヒメツチハンミョウ

(ツチハンミョウの仲間)

このように同じ『ハンミョウ』の名前を持っていても、見た目が全く違ってきます。もちろんその生態も全く違うもので、ハンミョウは他の虫などを食べ越冬もしますが、ヒメツチハンミョウの幼虫はハナバチ類の巣に寄生し花粉や蜜を食べ、成虫の寿命は1か月前後です。

クマバチの巣に寄生するヒラズゲンセイ

さて今回の主役・ヒラズゲンセイですが、こちらはヒメツチハンミョウとは違いクマバチの巣に寄生します。目撃例も少ないことからその生態も謎の部分が多いのですが、現在では以下のようなことが判明しています。

  • ヒラズゲンセイのオスはクマバチの巣の入口でメスを待ちかまえ、現れるとそこで交尾する。
  • 交尾を終えたメスはクマバチの巣に入って行き、そこで産卵。
  • 生まれたヒラズゲンセイの幼虫は、クマバチの体にしがみつき一旦巣から旅立つ
  • どういう訳か再度クマバチの体にしがみつき、巣の中に戻ってくる
  • 幼虫は花粉や蜜を食べ、クマバチの巣の中でさなぎ⇒成虫へと成長する。

クマバチの脚にしがみつくヒラズゲンセイの幼虫

ヒラズゲンセイ幼虫

出展:http://www.cc.kochi-u.ac.jp/~arakawar/gensei/

ここで謎なのが一度外へ出た幼虫が、どういった経緯で再度巣へ戻ってくるのか?最初のクマバチにつかまったままなのか?他のクマバチに乗り換えているのか?またなぜそのような回りくどい行動が必要なのか?

まさらにヒラズゲンセイの幼虫はクマバチの幼虫を食べているのか?

クマバチの巣の中のヒラズゲンセイの幼虫

ヒラズゲンセイ幼虫2

出展:http://www.cc.kochi-u.ac.jp/~arakawar/gensei/

画像を見れば幼虫にも大きな顎があるようです。これは一体、何のために必要なのか?とにかく謎の多い昆虫なのです。

ヒラズゲンセイはどこに住んでいる?

ヒラズゲンセイが初めて発見されたのは、今から約70年前の高知県でのことでした。

その後

  • 1976年:和歌山県
  • 1977年:兵庫県淡路島
  • 1985年:兵庫県神戸市北区
  • 1999年:大阪府貝塚市
  • 2008年:奈良県橿原市
  • 2009年:京都府宇治市
  • 2012年:滋賀県大津市
  • 2016年:滋賀県野洲市

このように年を追うごとに発見地域が北へ拡大しています。

ヒラズゲンセイは本来、大阪南部より南に生息しているとされていました。しかしこのように目撃情報が北へと拡大していることから、地球温暖化の影響で生息地域が拡大しているという見方もあるようです。

ヒラズゲンセイは危険生物!

さてこのように謎に包まれた幻の昆虫・ヒラズゲンセイですが、恐ろしい秘密兵器を隠し持っているのです。

それは体や脚の関節から出す黄色い体液。これは『カンタリジン』と呼ばれる毒で、人間の皮膚の柔らかい部分に付着すると、かぶれ水ぶくれを引き起こします。

こちらのサイト『しやけのドイツ箱』でその症状について詳しく書かれているので、一度参考にしてみて下さい。

『しやけのドイツ箱』・ヒラズゲンセイのページ

仮にヒラズゲンセイを発見しても、幻の昆虫だからと言って不用意に素手で触れるのは止めた方がよさそうです

参考⇒医薬品情報21

準絶滅危惧種?

ところでこのヒラズゲンセイ、準絶滅危惧種という割には近年あちらこちらで目撃情報が相次いでいるようです。

さわっちゃてる、、、(汗)

まあ、『居るところには居る』ということにしておきましょう。

ハンミョウとヒラズゲンセイ

さて最後になりますがハンミョウとヒラズゲンセイ、漢字ではこのように書きます。

・斑猫(ハンミョウ)=斑点のある猫?猫のような斑点?

・平頭芫青(ヒラズゲンセイ)=平たい頭のツチハンミョウ

そのまんまですね!(笑)  

数々の謎に包まれた『幻の?赤いクワガタ・ヒラズゲンセイ』。見つけたら手で触らずにすぐにご報告を。もしかしたらスクープされるかもしれませんよ。(笑)

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コメント

  1. ふるこまゆ より:

    見つけました!ヒラズゲンセイ!

    • taka より:

      ふるこまゆ様

      凄いですね!

      どこで見つけられたのですか?

      でも素手で触ってはいけませんよ!^^