みなさんこんばんは、鷹です!
先日の記事でもご紹介させて頂いたのですが、最近パラワンオオヒラタクワガタの幼虫の暴れがかなり目立つようになってきました。
現在我が家で飼育しているパラワンオオヒラタの幼虫は2月~3月の孵化で、およそ8か月が経過しようとしていますので、早いものであればそろそろ蛹化がはじまる様子です。
そこで先日の幼虫に引き続き、暴れのひどい2頭の蛹化の準備をしてみました。
目次
クワガタの幼虫の暴れ
その前にクワガタの幼虫の『暴れ』について少しだけ。
クワガタのブリードをしていると、必ずと言っていいほど『暴れ』という言葉を目にする機会が訪れます。
これは簡単に説明すると、
『飼育下においてクワガタの幼虫が、必要以上に飼育スペースの中を動き回る』
状態のことを言います。
『暴れ』がクワガタのブリーダーにとって嫌われる理由はただ一つ、
『暴れることによって幼虫の体重が落ちてしまう』
からなのです。
ご存知のようにクワガタの成虫の大きさは、幼虫時の大きさによって決まってしまいます。そのため大型個体を目指してブリードしていれば『暴れ』は大敵となってしまいます。
さてこの『暴れ』ですが、起こってしまう状況が幼虫の成長時期や飼育環境において様々なようで、特定の理由だけではなく様々な原因が考えられています。
主なものとしては、
- 食料不足
- 酸欠
- 病気によるもの
- 蛹化前の行動
などが挙げられます。
1~3までは幼虫の成長時期を問わず飼育環境によって発生してしまいますが、4に関しては必ず3齢中期以降で発生します。
そのため『暴れ』を避けるためには、
- 幼虫の大きさ
- 幼虫の成長時期
- 飼育環境の分析
などが必要になってきます。
しかし4の『蛹化前の行動』に関しては比較的多くの種で見られるようで、これは『クワガタの幼虫が自然界においても必要としている行動』なのかもしれません。
クワガタはさなぎになってしまうと全く身動きが取れず、完全に無防備になってしまいます。そのためそれまで幼虫として過ごしていた場所ではなく、よりさなぎとして適した場所、安全な場所を探し求めての行動なのかもしれません。
ということは、
『暴れ始めた3齢中期以降の幼虫は、より蛹化し易い環境に移してあげれば暴れは収まる?』
ということで、これまでのオガ(菌糸)ではなく、マットへ移してみることにしました。
パラワンオオヒラタの幼虫をマット飼育へ
まずはこちらの画像から、
左は先日の記事でご紹介した幼虫で、こちらに移動してすぐに蛹室を作ってくれました。
そして中央と右が今回マット飼育へ切り替える幼虫たちです。いずれもメスで、この3頭は姉妹になります。
また中央の暴れはそれなりですが、右は完全に菌糸が見えなくなっています。
ひょっとすると少し遅かったかもしれません。
下準備
それでは幼虫を移動させる前に、マットを詰めたビンを用意しておきます。
幼虫が少しでも早く蛹室を作りやすいように、マットは少し硬めに詰め込んでみました。
また羽化後地上に出てくることも考えて、上部の空間は少し広めにしておきます。(マットをビンの口いっぱいまで詰めない)
そして幼虫が潜りやすいように少し大きめの穴を開けておきます。
ここまで準備ができれば現在幼虫を管理しているワインセラーの中に2~3日入れておきます。
これは現在幼虫が暮らしている場所との温度差を少なくし、少しでも早く幼虫が馴染めるように、また環境の変化が幼虫に悪影響を与えることを避けるために行います。
1本目
それでは最初はこちらから、
とりあえず『暴れ』がひどい方から取り掛かっていきます。
フタを開けてみるとこんな感じで、
見事にかき回してくれたようで、菌糸が全くなくなっています。
さらにオガを少しづつ掻き出してみると、
いつもの菌糸ビンのようなオガの塊が全くありません。まるで砂のようにポロポロとビンの中から落ちてきます。
このような状態ですから、
突然、幼虫が『ポロッ』と落ちてきてしまいました。^^;
やはりかなり黄色っぽくなっています。また前回の菌糸ビン投入時(7月13日)は15gでしたが、それほど大きくなったようにも見えません。
とりあえず体重を測ってみると、
やはり思った通り、全く同じ15gでした。
この幼虫も『暴れ』はじめたのは9月の末です。ただそれまでは順調に食痕も広がっていました。
つまり『2か月かけて増えた体重が、2週間ほどの暴れで元に戻ってしまった』ということでしょうか?
2本目の菌糸ビンは少し無駄になってしまったような気もしますが、気を取り直してマットへ投入です。
潜りやすいように穴へ頭を入れてあげると、
元気にマットの中へ潜っていってくれました。
2本目
続いて2本目。
こちらは上の部分はかろうじて菌糸が残っています。
上部を掘り返してみると、
いつもと同じ菌糸ビンですね。
しかし上部の白い部分を取り除いてみると、
先程と同じ、バラバラになったオガが出てきました。
で、掘り進めるとこちらも先程と同じように、
突然、幼虫が転がり落ちてきてしまいました。しかも小っちゃい。^^;
ちなみに体重は、
11g。
こちらは5月に菌糸ビンに投入してからはじめての引っ越しです。
食痕の広がり具合を観察していたためこのタイミングになってしまいましたが、結果的にはこれで正解だったのかもしれません。
とりあえずマットに投入です。
で、ここでちょっと気が付いたのですが、オレンジ色の『卵巣』のようなものが見えますね。
これは一般的にクワガタの幼虫のオスとメスを見分ける目印の一つと言われていますが、さすがにパラワンでこの時期になればこれを見るまでもなく、『大きさ』で一目瞭然ですね。
こちらも元気よくマットの中へ潜って行ってくれました。
最後に
さて今回お引越しを終えた2頭ですが、先日先行してお引越しを終えた幼虫と共に、今後はこれまでのワインクーラー(23℃で管理)ではなく、25℃~27℃で管理している『自作温室』で飼育することにしました。
これはもう『蛹化寸前』であると判断したことと、少しでも立派な蛹室を作ってもらい、羽化不全を防ぎたいと考えたからです。
先行の幼虫のパターンから考えれば数日のうちに蛹室を作ってくれると思いますが、産卵から飼育してきたパラワンも成虫まであと僅かです。
ここまでくればなんとか元気な成虫となって姿を見せて欲しいものですね。