今年4月に燃費データの不正が発覚した三菱自動車工業。
その後の調査で過去10年間に販売した29車種でも不正を行っていたことが明らかになり、過去のリコール隠し問題に加え長年のずさんな管理体制が社会に多きな影響を与えてしまいました。
しかし日産自動車による買収や購入ユーザーに対する補償を発表し、『三菱ブランド』を残したまま再スタートを切ったかと思いきや、またしても新たな不正が発覚してしまいました。しかも先に発表されたekシリーズのユーザーに対する補償の支払いが始まった矢先の出来事です。
そこで今回は、新たに発覚した三菱自動車の燃費データ不正について詳しく見ていきたいと思います。
目次
不正発覚後の不正
分かり易く説明すると今回発覚した不正が大きな問題である理由は、不正発覚後に行った測定方法が不正であったということです。
4月の不正発覚後三菱自動車は、国土交通省より現行販売車種についての再測定を求められ、その結果を国土交通省に提出していました。その結果『RVR』『パジェロ』で燃費データの不正が発覚、6月17日時点でユーザーに対する補償を発表しており、その他の機種については燃費の差は3%程度にとどまると発表していました。
しかしその後国土交通省が独自に試験を行ったところ、先の三菱自動車が発表した数値に比べ最大で8.8%、平均で4.2%下回っていたことが分かりました。
三菱自動車が行った測定方法
本来法令で定められている測定方法は
- 『往復3回の走行データの平均値を取る』
と定められていますが、三菱自動車が行った測定方法は
- 『最大60回の走行を繰り返す』
- 『計算に有利な3回から平均値を出す』
というものでした。
これに対し三菱自動車は
- 『法令違反ではないと認識していた』
- 『現場が不正な測定を正しいものだと思い込んでいた』
という説明をしています。
ただ認識の相違や思い違いがあったにせよ、この方法が『いいとこ取り』という結果を生み出してしまうことは誰の目から見ても明らかです。
燃費不正が発覚した8車種と補償の詳細
このような結果を受けて国土交通省は三菱自動車に対し、8月30日にカタログデータの修正を指示。
三菱自動車は対象8車種の販売を停止したうえでユーザーに対する補償を発表。それと同時にカタログデータの燃費値を修正申請し、31日に認められています。
また9月2日には4月の不正発覚から3度目となる、国土交通省による立ち入り検査が行われました。
それでは今回、不正が発覚した8車種と補償内容について詳しく見ていきたいと思います。
車種名 | 発売日 | 賠償金 | 対象台数(台) | |
RVR | 2014年4月25日 | 10万円 | 4,035 | |
デリカD:5 | 2WD ガソリン車 | 2012年7月19日 | 6万円 | 7,498 |
4WD ガソリン車 | 2012年7月19日 | 9,120 | ||
4WD クリーンディーゼル車 | 2013年1月11日 | 31,817 | ||
ミラージュ | 2016年1月14日 | 4,633 | ||
パジェロ(ガソリン車) | 2009年12月3日 | 3,799 | ||
アウトランダーPHEV | 2015年7月9日 | 3万円 | 12,101 | |
i-MiEV(Xグレード) | 2013年11月14日 | 1,228 | ||
ミニキャブ・ミーブ トラック | 2013年1月17日 | 1,030 | ||
計 75,261 |
注)『RVR』『パジェロ』について、6月17日に発表された補償と重複している年式・グレードに関しては、
- RVR=3万円⇒10万円
- パジェロ=3万円⇒6万円
にそれぞれ変更になります。
三菱自動車の補償
今回の一連の燃費不正問題ですが、度重なる不正の発覚により補償を受けることができる車両の情報が少し混乱してきているようです。
そこで今現在(2016年9月4日)明らかになっている補償対象車両の判別について、要点をまとめてみたいと思います。
過去10年間に製造・販売された車両
基本的に補償の対象となっているのは、過去10年間に製造・販売されていた車両のみとなっています。
例え対象車両名に所有されている車があっても、それ以前の年式の物であれば補償の対象にはなりません。
ekワゴン/ekスペース
2013年6月から製造しているekワゴン/ekスペースを2016年4月21日時点で使用されている方。(自動車検査証の使用者)
尚、リース、残価設定クレジットをご利用の方、過去に所有されていた方も補償を受けることができます。
詳しくはこちらからどうぞ。
⇒『eKワゴン/eKカスタム』 『eKスペース』お支払い金の申請 専用ウェブサイト
販売終了車種
- 旧型アウトランダー
- ギャランフォルティス
- ギャランフォルティススポーツバック
- コルト
- コルトプラス
- パジェロ(2006年~2009年12月まで)
- RVR(2010年~2014年4月まで)
ご自分の所有されている車両がこれに該当する場合、こちらのサイトから対象車両であるか確認することができます。
現行販売車種
現行販売8車種については、上の表を参考にしてください。
尚、リース・残価設定クレジットをご利用の方、過去に所有されていた方も補償を受けることができます。
⇒現行販売車種の一部年式・型式の新燃費値の申請に伴う損害賠償の詳細について
実際の補償の受け方については、今後三菱自動車から発表される予定ですが、おそらくekシリーズと同様の方法となると思われます。
最後に
不正に次ぐ不正で三菱自動車の車を所有しているユーザーとしては悲しい限りですが、これを機にこれ以上の不正が行われないことを願うばかりです。
⇒デリカスペースギアの燃費は不正されたものだったのか?燃費について考えてみる
また少し手間な手続きにはなってしまいますが、補償対象車両を保有されている方、過去に保有されていた方(補償を受けることが可能な方)は、漏れずに申請を行うべきでしょう。
このことが企業体質の改善につながるのであれば。
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