バイクのリコール基礎知識

『リコール』という言葉。

20年ほど前はあまり耳にすることもありませんでしたが、近年ではそれほど珍しく感じることもなくなってしまいました。

この『リコール』という言葉が世間で広く知られるようになったきっかけは、皮肉なことに2000年(平成12年)に発覚した三菱自動車の長年にわたるリコール隠し問題でした。

ところでみなさんはこのリコールの本当の意味をご存知でしょうか?

『リコール=欠陥』

確かに間違ってはいませんが、実はそれだけではありません。

そこで今回はバイクのリコールについて、基本的な部分についてご説明していきたいと思います。

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目次

メーカーが行う回収・修理の種類

バイクメーカーは販売している、もしくはされていたバイクに設計もしくは製造過程における不具合が発見された場合、それを無償で回収・修理を行う場合があり、それらは大きく3つに分けられます。

リコール

リコールとは同一形式・一定範囲内のバイクにおいて、道路運送車両の保安基準に適合しないもの、又は適合しなくなるおそれがある状態で、その原因が設計又は制作過程にあると認められる場合、バイクメーカーが保安基準に適合させるために必要な改善措置を行うことを言います。

改善対策

改善対策とは道路運送車両の保安基準には規定されていないが、不具合が発生した場合に安全の確保及び環境の保全上放置できない状態であって、その原因が設計又は制作過程にあると認められる場合、バイクメーカーが保安基準に適合させるために必要な改善措置を行うことを言います。

サービスキャンペーン

サービスキャンペーンとはリコールや改善対策に該当しない不具合で、バイクメーカーが自主的に商品性・品質の改善措置を行うことを言います。

いずれの場合も実施までの流れは、

不具合情報の入手

調査・検討

リコール等実施の決定

国土交通省への届け出

公表

という感じになっています。

リコール・改善対策・サービスキャンペーンの違い

上の説明で3つの違いは何となく理解できたかもしれませんが、それぞれの違い、考え方についてご説明していきたいと思います。

リコール

基本的な考え方は、不具合によって保安基準に適合しなくなる又は重大な危険を伴う恐れがあるものです。保安基準に適合しなくなるというのは、少し言い方を変えれば『車検に通らなくなってしまう』と考えてもらえればより理解しやすいと思います。

ただ原付一種(~50㏄)や原付二種(51㏄~125㏄)、軽二輪(126㏄~250㏄)には車検はありませんが、それに準ずるものと考えて頂ければ結構です。

例えばこちら『トゥデイのリコール(平成22年12月2日届出)

これは方向指示器(ウィンカー)のスイッチ内部がさびて、スイッチ操作ができなくなるというものです。ウィンカーが点滅しなければ、当然車検には適合しません(保安基準に適合しない)よね?

そのためこれはリコールとなってしまうのです。

改善対策

同じく例を挙げて説明するとこちら。

『タクト・DUNKの改善対策(平成28年3月3日届出)』

これは燃料タンクキャップ周辺のフューエルトレイ(給油時にこぼれたガソリンなどの受け)の形状が不適切なため雨水や洗車時の水がトレイに溜まってしまい、それがタンクキャップの隙間から燃料タンク内に侵入してしまうというものです。

燃料タンク内に大量の水が入ってしまえば、エンジン不調・エンスト・始動不良などを引き起こしてしまいます。

ただしこちらがリコールではなく改善対策となっているのは、

  1. 全ての車両に起こる事例ではない(発生事例がほとんど見られない)
  2. 相当の水をフューエルトレイに流し込まないと不具合は起きない
  3. 砂・ごみ等がドレインチューブに詰まらないと発生しない
  4. 日常的な点検・整備でほぼ回避できる

などの理由があります。

これはつまり『大量の水の侵入』『砂等によるよるドレインチューブの詰まり』という風にに、悪条件が重ならないと発生しない(発生頻度が極めて低い)という理由があります。

サービスキャンペーン

さらにサービスキャンペーンはこちらを。

『アドレスV50/レッツ4/レッツ5のサービスキャンペーンについて(平成27年12月11日開始)』

こちらの内容はこのようになっています。

エンジンの暖機が不十分な状態での走行を繰り返した場合、カーボンが燃焼室周辺に堆積することがあります。そのため、堆積したカーボンが部分的に脱落して、インテークまたはエキゾーストバルブのシート面に噛み込み、停止直前のエンストやエンジン始動不良となるおそれがあります。

こちらはさらに先程の改善対策と比べると、発生条件が限定されてきます。

  • エンジンの暖機が不十分な状態での走行繰り返した場合
  • カーボンが燃焼室周辺に堆積することがある
  • 停止直前のエンスト
  • エンジン始動不良となるおそれがある

つまりこれは

  • 十分に暖機をすれば発生しにくい
  • 全ての車両にカーボンの蓄積が起こるとは限らない
  • 通常走行時にはエンストは起こらない
  • エンジン始動不良=始動しにくい⇒結果的には始動できる

ということを意味しています。

要するに不具合は発生しているものの、地域差・個人差などがあるということです。

そのため報告・調査の結果、リコールや改善対策ではなく、メーカーの自主的なサービスとしてユーザーの為に行われたキャンペーンであるということができます。

最後に

ご自分の使用されているバイクに対し、いきなりメーカーからDM等が送付されてくると誰でも慌てて『何が起こったんだ?』『このまま乗っていて大丈夫なんだろうか?』などと不安になってしまいますよね?

しかしそんな時は慌てずにお買い上げになった販売店(各メーカーの正規代理店)にご相談下さい。

また実際にリコールや改善対策・サービスキャンペーンが発表された時はどうすればいいのか?

それについては別記事でご案内させて頂きます。

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