カブトムシを採集するにはその生態を知ろう!(成虫編)

カブトムシ

6月も中盤に差し掛かり、日中はかなり気温が上がってきましたね。

私の家では既にカブトムシの成虫が誕生ラッシュとなっていますが、自然界でもそろそろ成虫の姿が見られる時期となってきました。

もちろんそうなればカブトムシ採集に行きたくて仕方がありません(汗)

以前こちらの記事『大阪でも採れる!カブトムシ・クワガタムシ採集のポイントと注意点』で、採集に関する基本的な情報は記載させて頂きましたが、これは全ての生き物に共通していることですが、やはりその生き物の生態を詳しく知ることは採集への一番の近道となります。

そこで今回は『カブトムシの生態』について詳しく見ていきたいと思います。

なおこの記事では特に『日本のカブトムシの成虫』についてご説明していきます。

目次

カブトムシの分類って?

カブトムシは地球上の生態系において、以下のように分類されています。

  • 界:動物界
  • 門:節足動物門
  • 網:昆虫網
  • 目:甲虫目
  • 亜目:カブトムシ亜目
  • 上科:コガネムシ上科
  • 科:コガネムシ科
  • 亜科:カブトムシ亜科
  • 族:真性カブトムシ族
  • 属:カブトムシ属
  • 種:カブトムシ

正式にはこんなにも細かく分類されているんですね。簡単に言えば甲虫(こうちゅう)、つまり硬い外骨格を持った昆虫で、コガネムシなどと同じ仲間に分類されています。

なお私たちが一般的に目にすることができるカブトムシは、正式には『ヤマトカブトムシ』と呼ばれています。

どこに住んでいる(分布)?

現在、ヤマトカブトムシは北海道・本州・四国・九州・沖縄本島など、日本全国に生息しています。また、本州・九州・沖縄周辺の離島朝鮮半島中国大陸にも生息しています。

ただし日本において、北海道沖縄本島に生息しているものは人為的なものです。元々生息していた訳ではなく、飼育下のものが逃げ出したり、人が野生へ放ったことにより定着したものなのです。

ただこれは余談ですが、自然の生態系に人為的な変化が加えられることは、あまりいいこととはされていません。これはそれまでそこに生息していた種の生存を脅かしたり、予想もできないような変化をもたらす可能性があるためです。

1999年に植物防疫法が規制緩和され、現在ではペットショップなどで多くの海外産カブトムシを入手することができますが、飼育されている方はこれらが逃げ出したりしないように注意する必要がありますね。

また主に生息しているのは、標高1,500m以下の山地や平地の広葉樹林です。

カブトムシの特徴

形態

カブトムシは『昆虫の王様』と呼ばれていますが、その理由はやはりその強さ大きさです。硬い外骨格に覆われた体や特にオスは頭部に大きな角を持っており、昆虫同士の争いになればほぼ『向かうところ敵なし』と言っても過言ではありません。

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カブトムシのオス

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カブトムシのメス

体長は平均で

  • オス:30~54㎜(角を除く)
  • メス:30~52㎜

ほどもあり日本最大の甲虫とされていましたが、現在では沖縄に住むヤンバルデナガコガネ(オス:50~65㎜、メス:40~60㎜)が最大であることが確認されています。

最大の特徴であるオスの大きな角は餌場の取り合いメスの奪い合いの際に使用され、体の大きさに比例して大きくなります。

またメスの頭部には角はありませんが硬くゴツゴツとした形状をしており、これは産卵のために地中を掘り進むのに非常に適しています。

足は一般的な昆虫と同様6本で、先には気につかまるための鋭い爪があります。

しかし実はこれが少し危険で、カブトムシの木につかまる力は半端じゃありません。軽い気持ちで手の上に乗せようものなら、無理に外そうとするとこちらが出血してしまう場合もあります。この場合は無理に引っ張るのではなく、カブトムシの前方に木の枝などを用意し後ろから突いて乗り移らせるようにしましょう。

また羽は硬い外骨格でできた前ばね(2枚)と、その中に折りたたまれた後ろばね(2枚)で構成されており、飛ぶ際は後ろばね2枚を羽ばたかせて飛行します。

ただ見ての通り体の割には羽は大きくありません。そのため飛行速度は遅く長距離の飛行も得意ではありません

カブトムシ羽

画像引用元:http://www.muchinochi.com/archives/153

カブトムシは一般的に黒っぽい色をしています。これはカブトムシが夜行性であり夜の暗闇にまぎれるための保護色なのです。

カブトムシの天敵カラス野鳥小動物などで、カブトムシはこれらから身を守るために進化の過程で夜行性になり、黒っぽい色になったとされています。

しかし中には赤っぽい色をしたカブトムシも多数見られ(先程の羽を広げた画像参照)、見られた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。実はこれも身を守るための保護色の一つで、明け方や夕日の中でも目立たないようになっているのです。(黒ばっかりだと真っ暗になるまで行動できません)

つまりこのように主に2種類の色を用意することでリスクの分散をしており、種としての絶滅を避けるようにしているのです。

カブトムシの鳴き声

実はカブトムシって『鳴く』というのはご存知でしたか?

もちろん人間や動物のように口があって喉があってというわけではありませんが、腹を伸び縮みさせることによって音を発生させます。よく観察していると腹部全体を動かして前ばねとこすりあって音が出ているようにも見えます。

これはオス・メス共に興奮した時求愛行動中によく見られます。また飼育している場合は霧吹きで水をかけたり背中を軽く突くと鳴くこともあります。

一度試してみて下さいね(笑)。

カブトムシが良く見れるサイト

カブトムシのオスに関してはこちらのサイト、『NHK ものすごい図鑑 カブトムシ』で様々な角度や部位のアップなどを見ることができます。なかなか面白いのでより詳しく観察したい方は一度見てみて下さいね。各部位の説明等も見れますよ。

『NHK ものすごい図鑑 カブトムシ』

カブトムシの生態

カブトムシは基本夜行性で、夕暮れ時から日没にかけて餌場を求めて行動を開始します。カブトムシが生息する地域ではこの時間帯になると、餌場を求めて飛び回っている姿を多数見ることができます。

カブトムシの成虫は木から出る樹液を食料としており、活動時間帯にしていることと言えば、食事・餌場の取り合い・交尾の3つがほとんどです。そのため餌場にたどり着いたカブトムシは追い出されでもしない限り、ほぼその場で過ごしています。

カブトムシは日中でも行動している?

ただ中には例外も見られ、日中の餌場でも時にはカブトムシを見ることができます。

これには様々な理由があるのですが、

  • 夜間の餌場の取り合いに負けて食料にありつけなかった
  • 明け方近くに餌場にたどり着いた

などといったケースが多いようです。

また夜間に食事を終えたカブトムシがそこから飛び去らず、近くの葉っぱの下木陰に身を隠して休んでいることもありますが、一般的には日中は地中や落ち葉の下などに身を隠して休んでいます

カブトムシの集まる木

カブトムシは木から出る樹液を食料にしていますが、何でもかんでもというわけではありません。カブトムシが集まる木として知られているのは

  • クヌギ
  • コナラ
  • ミズナラ
  • クリ
  • カシ
  • アベマキ
  • サイカチ
  • ヤナギ
  • ライラック

などですが、最も多くみられるのはクヌギ・コナラ・クリ・ミズナラなどが有名です。

カブトムシは光に集まってくる

またカブトムシは光に集まってくるという習性があります。

そのため餌場を求めて飛び回っているカブトムシが、近くの街灯自動販売機、時には民家の窓に集まってくることもしばしば見られます。

カブトムシを採集するにはその生態を知ろう

これらのカブトムシの生態を見てみると、そこには採集の際に役立つヒントが多く隠されています。

  1. 場所=広葉樹林でクヌギやコナラのある標高1,500m以下の林
  2. 時間=基本的には日没から夜明けまで。しかし日中であっても葉っぱの下木陰に潜んでいることもある。
  3. =生息地域付近では、街灯自動販売機などをめがけて飛んでくることがある。そのためその付近を探してみると、ノコノコと歩いていることもある。

これらのポイントを参考に、ぜひカブトムシ採集にチャレンジしてみて下さい。

なお採集の際はこちらの記事『大阪でも採れる!カブトムシ・クワガタムシ採集のポイントと注意点』も参考にしてみて下さいね。

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