日本には意外と多くの種類のクワガタが生息していますが、その中でも最も目にする機会が多いのがコクワガタです。
しかしいざ『コクワガタってどんなクワガタ?』と質問されると、以外にも『????』。『小さいクワガタ』『けっこう見かける』『越冬する』ぐらいしか思いつかないものです。
そこで今回はコクワガタの生態について、詳しく見ていきたいと思います。
目次
コクワガタの名前の由来
まず初めにコクワガタの名前について。
漢字では『小鍬形』、学名は『Dorcus rectus』と言います。
つまり小さい鍬形なので『コクワガタ』。って、そのままです!
確かに大きなクワガタではありませんが、コクワガタは日本に生息するクワガタの中では中型の部類に入ります。
しかしこの名前がついてしまったのは、日本で最も多く見られるクワガタ、『ノコギリクワガタ』『ミヤマクワガタ』などと比べれば小型であったためではないかと思われます。(鷹の想像です)
ちなみに学名の『Dorcus』(ドルクス)とは、たくさんの種類が存在するクワガタの中で『オオクワガタ属』であるということを意味しており、『rectus』とは『まっすぐ』といった意味があり、コクワガタの特徴でもある『まっすぐに前方に伸びた大顎』の形状のことを指しています。
コクワガタの住んでいる場所
コクワガタは北は北海道から南は沖縄まで、日本全土に分布しています。
また亜種も存在しておりその生息地は、
- ハチジョウコクワガタ=八丈島
- ヤクシマコクワガタ=屋久島・種子島・黒毛島・甑島列島
- ミシマコクワガタ=三島村・男女群島・口永良部島
- トカラコクワガタ=トカラ列島
となっており、北海道・本州・四国・九州・五島列島に生息するコクワガタと合わせると、日本には5亜種が生息していることになります。
さらに森林だけではなく、都市部にある緑地・街路樹・公園の樹木などでも見られることがあります。
つまり亜種を含めるとほぼ日本全土に生息しており、山や森林だけでなく都市部でも生息することが可能なため、これが最も多く見られる理由の一つでもあります。
コクワガタの特徴
コクワガタは先程も記載した通り、日本に住むクワガタの中では中型の部類に入ります。
コクワガタの成虫は主にクヌギ・コナラ・シラカシ・ヤナギ・カシ・アベマキ・ニレなどの広葉樹の樹液に集まってきますが、クワガタの中では飛翔能力も高い部類に入るため、夜間は灯火をめがけて飛来することもよくあります。
ただクワガタの中ではあまり争いを好まない性質をしているので、カブトムシや他のクワガタがいる場所を避ける傾向があるようです。
一説によればコクワガタが種を存続できている一つの要因に、『とにかく危険が迫れば逃げの一手で生き延びてきたから』とも言われています。
実際に屋外採集で見つけても、『すぐに逃げる』『死んだふりをして木から落ちる』など、素早く捕まえなければ逃げられてしまうことも多いです。
これも種を存続させるための大事な手法なんですね。
コクワガタのオスの特徴
体長は17~54.4㎜。
オオクワガタ属(ドルクス属)の他の種と同様、体は上下に平らで、主に黒っぽい色をしています。(稀に赤褐色を帯びるものもいるようです)
クワガタのオスの特徴を最も表す大顎は、細長く前方に向かって真っすぐ伸びており、先端のみ内側に向かって大きく湾曲しています。また中央より少し前方に一対の内歯があります。
コクワガタのオスはその大きさによって大顎の形状も異なり、小型のものでは内歯が消失しているものもいます。
また見た目も大型のコクワガタとは大きく異なることから、以前は『ヒメクワガタ』と呼ばれ別種であると考えられていました。
コクワガタのメスの特徴
体長は21.5㎜~33㎜。
クワガタのメスはオスと違って少し判別しづらい傾向がありますが、コクワガタのメスの特徴としては、
- 胸部につやがある
- 胸部の後方が湾曲している
- 頭部が少し小さめ(左右)
- 頭部から胸部にかけて大きくくびれている
- 前脚の頚節(人であれば腕に当たる部分)が直線的でまっすぐである
などが挙げられます。
コクワガタの一生
それで次にコクワガタの一生について見ていきたいと思います。
コクワガタの成虫が活動するのは5月~10月中頃までです。夏場は広葉樹の樹液に集まって来て、そこでオスとメスが出会い交尾をします。
コクワガタの成虫はその年に一生を終えてしまうものもいますが、一部の成虫は越冬をし翌年も活動をします。野生下では成虫2年目にほとんどが死んでしまうようですが、飼育下ではごく稀に成虫のまま2~3年生きるケースも見られるようです。
交尾を終えたメスは広葉樹の朽ち木に卵を産卵します。卵は約2週間~1か月で幼虫へと孵化し、誕生した幼虫はそのまま朽ち木を食べて育ちます。
幼虫は通常、約1年でさなぎから成虫へと羽化していきます。ただし羽化の時期が夏から秋にかけての時期であった場合は、そのまま蛹室で飲まず食わずの状態で越冬をして、翌年の初夏に活動を開始します。
また幼虫は寒冷地であれば羽化までに2年かかる場合もあります。
つまりコクワガタは幼虫期間から考えれば、1~3年で一生を終えてしまうクワガタなのです。
最後に
『オオクワガタ』がいれば『コクワガタ』もいる。
いかにも日本的な名前の付け方ですね。^^
コクワガタはクワガタの中でも比較的おとなしい部類で、基本的には争いを好みません。もちろんエサ場やメスの取り合いで『小競り合い』をすることはありますが、相手が死に至るまで執拗に攻撃することもありません。
実際に手に取ってみて故意に指を挟ませてみても(マネはしないで下さい)、少し軽く挟む程度ですぐに放してしまいます。(ちなみに『ヒメクワガタ』サイズの中にはしつこく挟むものもいるので要注意です)体験談。
丈夫でおとなしいため飼育にも適しているのですが、全体のバランスも取れていてスタイリッシュでかっこいいクワガタだと思っているのは、私だけでしょうか?^^
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